前歯の噛み合わせがとても深く、治療に時間のかかった症例をおみせいたします。
患者様は初診時年齢22歳、女性の方です。
「歯並びが悪くて思い切って笑えない」ことを主訴に来院されました。
気にはなっていたのですが、装置が見えるのが嫌で今まで矯正できなかったとのこと。
裏側からの矯正(リンガル矯正)を希望されました。
下の写真が、お顔の写真とお口の中の写真です。
笑顔が自然ではなく、口元にギュッと力が入ってしまいます。
お口の中は、上の前歯が深くかぶさっていて、下の前歯が見えなくなっています。
患者様の希望された裏側からの矯正(リンガル矯正)は、実はこのようなケースにとても適しています。
まず初めに、上あごの歯の裏側にブラケットをつけていくのですが初期の段階では、上あごのブラケット面に下の前歯があたってしまい、奥歯がしっかりと咬めなくなってしまいます。
この効果のことを、バイトプレーン効果といい裏側からの矯正(リンガル矯正)の大きな特徴のひとつとされてきました。
咬み合わせを強制的に挙げるため、生体にやさしい治療なのか、という議論もあると思うのですが、矯正の分野で改善が難しいと言われている、「咬み合わせを挙げること」が初期の段階で出来るため早期に下あごに装置も付きやすくなり、治療を早く進めることが出来ます。
矯正の不正咬合の中では、歯列の中で水平的な改善(例えば歯がガタガタしているとか)よりも垂直的な改善(例えば開咬や咬み合わせが深いとか)の方が改善が難しいと言われています。
その点でリンガル矯正法は、咬み合わせの深い症例に対して咬み合わせの再構築にとても有効な治療法といえます。
下の写真は、上あごの裏側にブラケットがついた直後の写真です。
奥歯は2〜3ミリほど開いてしまっていて咬む事が出来ません。
こうなった場合奥歯の咬み合せの部分に樹脂を盛り付けて仮に咬めるようにしていきます。
下の写真は2ヶ月後下あごにも装置が付いたときの写真です。
上の前歯も並びはじめ、奥歯もかめるようになってきています。
この患者様は、奥歯の歯がしっかり咬めるようになるのに約2ヶ月かかりましたが、
通常の場合約2週間で咬めるようになってきます。
下の写真は、治療開始から1年2ヶ月時の写真です。
ずいぶん歯並びもキレイになってきました。
下の写真は装置を外したときの写真です。
笑顔も自然になり自信を持って笑えるようになったと喜んでいただきました。
お口の中の写真です。 咬み合わせも改善しています。
治療期間は2年10ヶ月かかりました。
治療期間はやや長くなりましたが、リンガル矯正のバイトプレーン効果を実感させていただいた症例となりました。